不動産業界は、契約書の作成や入居促進業務などの業務をデジタル化することで、業務効率化と生産性向上を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗ろうとしています。
DXに積極的に取り組む不動産会社が増えており、競争力を高めるために必要不可欠な取り組みとなっています。
本記事では、不動産業界におけるDX化の具体的な事例を紹介するとともに、DX化とデジタル化の違いについて解説します。
革新や効率化に関心のあるビジネスマンの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
不動産業界におけるDX化とは
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を活用して業務プロセスや組織、ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することを指します。
不動産業界では、以下のような取り組みがDX化の一環として行われています。
1: 契約書の電子化
2022年5月から不動産取引における書面の電子化が全面的に解禁されたことを受け、多くの不動産会社が電子契約システムの導入を進めています。
契約書などの書類を電子化することで、顧客は来店せずにオンラインで契約を締結できるようになり、業務の効率化につながります。
2: Web接客システムの活用
遠方から物件を探している顧客に対し、Web接客システムを使ってオンラインで物件案内や契約締結を行えます。
対面での接客に比べて時間や場所の制約が少なく、顧客の利便性向上と業務の効率化が期待できます。
3: 顧客管理システムの導入
顧客情報や物件情報をデータベース化し、一元管理することで、営業活動の効率化や情報共有の円滑化が可能になります。
また、蓄積されたデータを分析することで、顧客ニーズの把握や新たなビジネス機会の創出にもつながります。
不動産業界におけるDX化は、業務効率化と生産性向上を主な目的として進められています。
2022年の調査では、DXに取り組んでいる、または取り組む予定があると回答した不動産会社は全体の71%に上るなど、多くの事業者がDXの重要性を認識しています。
今後、DXへの対応が競争力を左右する時代になると予想されるため、早期の取り組みが求められます。
DX化とデジタル化の違い
DX化とデジタル化は似た言葉ですが、その意味合いは異なります。
両者の違いを理解することは、DXを推進するうえで重要なポイントとなります。
1: DX化とは
DX化とは、デジタル技術を業務プロセスに導入するだけでなく、それを起点として組織やビジネスモデルを変革し、新たな価値を生み出すことを指します。
つまり、デジタル化は手段であり、DX化はそれを活用して競争優位性を確立することが目的となります。
例えば、オフィス用品通販のアスクル株式会社は、コロナ禍において顧客データを活用し、医療関係者など必要度の高い顧客に感染予防用品を優先的に販売する仕組みを短期間で構築しました。
これは、デジタル化された環境を土台に、変化に柔軟に対応してビジネスチャンスを生み出した好例と言えます。
2: デジタル化とは
一方、デジタル化とは、アナログな業務プロセスをデジタル技術に置き換えることを指します。
デジタル技術を導入した時点で達成されるため、その成果は問われません。
デジタル化は比較的容易に実現できますが、DX化はデジタル化の先にある変革が求められるため、より高度な取り組みと言えます。
デジタル化で得られたデータや環境を、いかに活用して新たな価値につなげるかが、DX化の鍵を握ります。
まとめ
本記事では、不動産業界におけるDX化の具体例として、契約書の電子化やWeb接客システムの活用、顧客管理システムの導入などを紹介しました。
DX化は業務効率化と生産性向上を目的に進められており、競争力強化に欠かせない取り組みとなっています。
不動産業界でDXを推進するためには、デジタル化とDX化の違いを理解し、技術導入だけに留まらない変革の視点を持つことが重要です。
DXの波に乗り遅れないよう、早期の取り組みが求められると言えるでしょう。